1人だけで内覧会(完成検査)のチェックをできるか

1人で内覧会

長く新築住宅の内覧会立会い・同行サービスをしている間には、内覧会に関する様々な質問を受けてきましたが、よくある質問の1つに「一人で内覧会に対応できるか?」というものがあります。「1人だけで完成検査できちんとチェックできるか?」という相談には、基本的には厳しいと回答せざるを得ません。

以下で、その理由を説明します。

1.引渡し前の内覧会(完成検査)でやるべきことは多い

内覧会は、ご存知の通り、購入した住宅の引渡しを受ける前に、買主が最終チェックをするという大事な機会です。内覧会は完成検査とも言われていますが、やるべきことは多いですが、大きく分けて以下の3点です。

  1. 使用説明を聞く
  2. 契約したものと完成状態に相違ないかチェックする
  3. 施工品質に問題ないか(不具合がないか)チェックする

この3点を以下で説明します。

1-1.使用説明を聞く

住宅には様々な設備機器が付属していますが、それらの使用・取扱方法について説明を受けることになります。24時間換気システムや食洗器、給湯器などの設備機器に関する説明です。他にも建物について説明を受けることもあります。

分譲マンションであれば、管理や駐車場などの説明を受けることもよくあります。

説明を受けた後には、受けたことを確認する書面へ署名・押印を求められるケースもあります。

ただ、これはそう難しいものではありませんし、それほど緊張感を持つ必要もないでしょう。

1-2.契約したものと完成状態に相違ないかチェックする

内覧会で実施すべき重要なことの1つは、完成した建物と契約した内容に相違がないか買主が自らチェックすることです。

図面や仕様書と出来上がった建物が一致しているかどうか確認するわけです。例えば、床フローリングや替えクロス等の材料・色、キッチンやユニットバス等のサイズ・種類などの確認です。

完成済みの建売住宅で、現物を見て購入したのであれば、この点はそれほど気にする必要はないかもしれませんが、建築中に購入した場合や注文建築を建てた場合にはぜひ確認しておきたいことです。

1-3.施工品質に問題ないか(不具合がないか)チェックする

そして、もう1つ非常に重要なことが施工品質のチェックです。建物に不具合がないか、欠陥がないか確認するのですが、これはなかなか時間がかかるうえに知識と経験が求められる作業です。

床や壁のキズばかり必死にチェックする人もいますが、入居すればそういった傷は付くものです。そういった点よりも、機能的な問題がないか、生活に支障を及ぼす問題がないかといった点こそチェックすべきです。

これには、専門家でも建物面積30坪(100㎡)の住宅で2時間前後かかります。床下や屋根裏までチェックするならば、もっと時間がかかるのです。

2.1人で内覧会を乗り切るために必要なこと

「夫が仕事でどうしても内覧会に立会えない」「一人暮らし用のマンションを買ったので一人でチェックするしかない」という人は多いですが、1人で内覧会を無事に乗り切るために必要なことが何かここで挙げておきますので、該当しない人はせ専門家の同行を考えた方がよいでしょう。

  1. 建築知識と経験
  2. 不動産会社・建築会社に負けない気持ち
  3. 充分な時間

2-1.建築知識と経験

まず、基本となるのは建築知識と経験です。施工品質の良し悪しを判断するためには知識が必要です。買主が指摘したことに対して建築会社が言う説明が、ただの言い訳なのか妥当なことなのか判断するには経験が必要です。知識と経験は内覧会で失敗しないために必要なものなのです。

但し、マンションは一戸建てに比べると深い知識を求められることはないため、一戸建てよりも一人で対応しやすいと言えます。

2-2.不動産会社・建築会社に負けない気持ち

内覧会の場では、何かを買主が補修すべきではないかと指摘したところで、誤魔化そうとする建築会社の人もいます。「それは許容範囲だ」「問題ないものだ」などと言うのですが、それはおかしいと感じても強く出られない人は多いものです。

不動産会社や建築会社に対して、簡単には引かない、負けない気持ちを持つことが大事です。全ての不動産会社等が親切であればよいのですが、残念ながら現実はそうでもありませんから、最後は強い気持ちがものをいうのです。

2-3.充分な時間

内覧会を乗り切るためには十分な時間が必要です。前述したように、専門家でも2時間程度はかかるわけですから、建築知識や経験のない人が1人で乗り切るためにはもっと時間がほしいくらいです。

売主等はあまり長い時間を想定していないことも多いので、事前に2時間以上は時間をもらいたいと伝えておき、しっかり時間をかけてチェックするよう心がけてください。

3.1人内覧会はリスクが高い

ここまで読んで頂いて、1人で内覧会に対応することが難しいことだと理解してもらえたことでしょう。できれば、知人や身内に頼んで複数の人で対応するか、専門家に同行を依頼すべきでしょう。住宅購入の最終段階まできて失敗しないためにも、よく考えてください。

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建築士による内覧会立会い・同行
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