完成後、引渡し前に行う内覧会において、買主がいろいろな点をチェックしていくわけですが、そのときに床や壁などの仕上げ材にあるキズや汚れのチェックに多くの時間を割いている人がいます。新築住宅を買ったわけですから、キズや汚れが気になる気持ちは理解できますが、もっと他に大事な点もありますからキズ・汚れのチェックも十分に行ってほしいのです。
そうは言っても気になると言う人は少なくないですから、今回は内覧会で確認されるキズや汚れについて書いてみます。この記事を読むことでキズ・汚れの問題をすぐに解決できるわけではありませんが、内覧会に臨む際の予備知識として読んでください。
1. キズ・汚れのチェック
内覧会は完成状態を買主がチェックする機会ですが、チェックする対象としてキズや汚れを見ることも含まれるべきです。買主の目で見て気になる点は、基本的には指摘すればよいです。専門家を内覧会に同行する場合、キズ・汚れのチェックは対象外ですから自分の目で見る必要があります。
1-1.内覧会でキズ・汚れチェックばかりする人がいる
内覧会でキズや汚れを入念にチェックすること自体は何も悪いことではありません。気になることは指摘事項として出すといのですが、その他のことも確認しましょう。たとえば、設備や建具の動作チェック、点検口内部のチェックなどです。
※チェックポイントは「内覧会のチェックマニュアル・チェックポイント」を参照してください。
内覧会はキズや汚れのみを見る機会ではないですから、そればかりに気を取られないことが大切です。傷が気になりだすと、そのチェックだけに長時間を費やしてしまい、他の大事な点を見ていないという人が少なくありませんから注意してください。
1-2.キズが多いと心配が大きくなる
これまで、大変多くの内覧会に立会い・同行してきました。その際、重大な指摘が無い住宅であっても、細かな傷や汚れの多い物件であった場合、買主は大きなショックを受けることが多いです。
これから長く暮らしていく住まいが、新築の時点で傷だらけであったなら、誰でもいい気はしません。ショックを受ける気持ちはよくわかりますし、立ち会っていると一緒に残念な気持ちにもなります。
そして、傷等があまりに多い状況から、「見えていない箇所は大丈夫だろうか?」「建築会社が許容範囲だと説明するが本当だろうか?」と不安や疑念が沸いてくる人も多いです。
細かなことであったとしても、内覧会の時点で仕上りが粗いことは確かですから、買主が見て心配するのは当たり前なのです。
買主が内覧会に臨む前は、購入した住宅をはじめて見られる機会であり、ワクワクした気持ちで現地を訪れる人も多いです。そこで初めて見る我が家の出来栄えに問題があったならば残念な気持ちになるのも当然です。「内覧会に行って、がっかりした」という話は今までに何度も聞いてきました。
2.売主は細かすぎると考えずに自らの仕事を見直すべき
多くのキズ・汚れを見た買主がショックを受け、がっかりするのは当然のことだと書きました。では、売主や建築会社の方は、キズ・汚れについてどうのように考えているのでしょうか。
2-1.引渡し前に補修すればよい
売主や建築会社と言ってもいろいろな会社があり、いろいろな人が働いていますので、考え方もいろいろです。しかし、キズや汚れが多い住宅の内覧会を開催するような業者の多くは、この問題を軽く考えている傾向にあります。
たとえば、
- 傷は、内覧会の後、引渡しするまでに補修すればよい
- 汚れは、引渡し前に清掃すればよい
と考えていて、内覧会時点の見栄えを一切に考えていない業者が少なくありません。買主が内覧会の際に驚きながら、「清掃してもらえるのですか?」などと質問すると、「引渡し前に清掃するのは普通ですから」と回答することがあります。
確かに引渡し前に綺麗にしておくことは当たり前なのですが、本来なら内覧会の時点でしておくべきことです。質問した買主がおかしいかのような回答の仕方をする人もいて、見ていて驚くことがあります。
2-2.不慣れな消費者の気持ちを理解すべき
買主は、何度も何度も住宅を購入するわけではありません。購入する流れにある、購入申し込みや売買契約、住宅ローンの申し込みと契約、そして内覧会、引渡しと全てが初めてのことばかりです。
それだけに、不安な気持ちになるのは当たり前ですね。
これに対して、日々、仕事としてこなしている不動産会社や建築業者には、いろいろなことが普通のことになっていて、丁寧な対応、適切な対応が出来ないでいることが少なくありません。
もっと買主の気持ち、消費者の気持ちを考えて対応してほしいものですね。大きなお金をかけて購入するわけですから。
2-3.売主・建築業者は簡単に配慮できるはず
売主や建築業者にとって、買主のこの手の不安をやわらげてあげる方法は非常に簡単です。
- 内覧会の前に社内検査をしっかり行う
- 内覧会の前に補修・清掃しておく
- 上の2点を確実に実行するために内覧会や引渡しまでのスケジュールにゆとりを持つ
たったの3点だけで買主の不安を減らすことができるのです。そして、結果的にクレームも減るため、売主や建築業者のメリットにもなります。
内覧会のキズ・汚れに関する問題は、以前はマンションにおいて非常に多く見られましたが、この数年、マンションの内覧会開催時点では、仕上り状態も改善されてきました(もちろん物件によって差異がある)。しかし、一戸建て住宅では改善されていない物件も多いですから、早くよくなってほしいものです。
今回の記事は買主よりも売主や建築業者に読んでほしいものになりましたね。