契約した新築住宅の引渡し時期が近づければ、買主もしくは施主により完成検査(=内覧会または施主検査)が行われる時期でもあります。この内覧会から引渡しを経て入居するまでの期間は、そのスケジューリングに注意しなければ金銭も絡むトラブルに巻き込まれることもあるので要注意です。
内覧会から入居に至るまでの住宅購入に関する最終段階における適切な流れと注意点を把握することで、新築住宅の購入を失敗させないように努めましょう。
1.内覧会(完成検査・施主検査)から引渡し・入居の流れ
出来上がった建物の施工精度などをチェックする内覧会を終えてから、引渡しまでの期間は、取引にもよりますが概ね10日間程度であることが多いですが、新築分譲マンションでは2~3か月の期間を設けることもあります。
それでは、内覧会から入居までの一般的な流れがどうなっているのか、以下で確認してください。
- 内覧会(完成検査・施主検査)
- 補修工事(手直し工事)
- 再内覧会(確認会)
- 住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)
- 引渡し・残代金の決済
- 入居(引っ越し)
以上が一般的に見られる流れです。但し、再内覧会(確認会)において補修工事の不十分な箇所が見つかった時には、再び補修工事(手直し工事)へ戻り、さらにその後に補修後の確認会が必要です。
また、住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)はもう少し早いタイミングで実施することも少なくありません。特に建売住宅では、内覧会から引渡しまでの期間が短いことが多いため、住宅ローンの契約も早めにやっておくことがあるのです。
取引の流れは物件や不動産会社によって異なるものですから、不動産会社(または建築会社)に確認してください。契約時に取引の流れを書面で案内してくれることも多いですから、その案内書を失くさないように注意しましょう。
2.内覧会から入居までのスケジュール調整の注意点
次に、内覧会から入居するまでの間のスケジュールの調整・決定に関して注意しておくべきことを紹介します。買主や施主が何も考えずにいると不動産会社や建築会社が一方的に指定するスケジュールになることが多いですが、その日程に無理があれば変更をお願いした方がよいこともしばしばあるものです。
2-1.内覧会から再内覧会(確認会)まで
内覧会から再内覧会の間には、内覧会の際に指摘した事項の補修工事が入りますから、補修工事を丁寧に実施してもらえるだけの期間をあけておく必要があります。
たとえば、内覧会の3日後に再内覧会の日としてしまうと補修工事は2日間しかありませんが、これでは工事が間に合わないこともあります。また、補修工事業者の手配が、内覧会の翌日にできるとも限りません。
せめて内覧会から再内覧会までの期間を7日間(1週間)程度あけてもらうことをオススメします。それでも、補修工事がその期間内に間に合わない場合は再内覧会以降の日程を延期してもらえるようにしましょう。
2-2.再内覧会(確認会)から引渡しまで
再内覧会から引渡しまでの期間も「2-1.内覧会から再内覧会(確認会)まで」同様に7日間程度が理想です。再内覧会において指摘事項が何もあがらなければ、その翌日に引渡しであっても問題ありませんが、万一、補修が完了していないときには、翌日に予定していた引渡し日を延期調整しなければなりません。
しかし、引渡し日の延期は金融機関との予定調整もあってすぐに対応しづらいですから、あらかじめゆとりあるスケジュールとしておくことをオススメするのです。
再内覧会前に実施される補修工事の際に、建物内へ入った補修業者によって新たな傷や汚れがつけられることも少なくありませんから、スケジュールのゆとりは大事なことです。
2-3.引渡しから入居まで
住宅を購入する多くの人にとって、引渡しを受けたらすぐに入居したいという気持ちがあるものです。早く新居で暮らしたいというワクワクした気持ちがそう考えさせることもありますし、また引っ越し前の住まいの家賃と新居の住宅ローンの2重払い期間を失くしたいという考えもあるでしょう。
それだけに、引渡し予定日の翌日や3日後に引っ越し業者を手配している人も少なくありません。
しかし、注意して考えておくべきなのは、全体のスケジュールが遅れたときのことです。
内覧会で多くの指摘事項があったり、重大な瑕疵が見つかったりしたとき、補修工事の期間が想定よりも長引くこともあります。また、何度も何度も補修工事をやり直してもらうこともあります。実際に専門家が内覧会(完成検査・施主検査)に同行するケースでは、様々な指摘事項があがって多くの補修を要することもあるのです。
引渡しから入居(引っ越し)までの期間は、そういった想定外のスケジュール調整・延期に対応するための時間の貯金のようなものです。どんなに短くても1週間以上は開けてほしいところですが、できれば2週間以上あけるようにしたいものです。
補修工事が未完了であるために引渡しを受けたくないのに、旧自宅を退去しなければいけないがために、やむを得ず引渡しを受けて引っ越ししている人もいますが、入居してから補修工事業者が出入りする暮らしはストレスが溜まって嫌なものです。